2014年03月02日

La Matiere (小田原)名残マティエールへ

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この春から、京都 祇園に移転して新しい歴史を刻むことになる
小田原の「ラ・マティエール」。京都の開店準備が想定より
長引いているとのことで、2月は特別営業に”名残マティエール”を
開催することになったんです。

そんな告知があってから、あっという間に満席になった
”名残マティエール”ですが、SINPさんのお力を借りて
貴重な土曜日に潜り込むことに成功。
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まだ、アップは出来てないんだけど、正直 年末のマティエールは、
フィナーレに相応しい完成度と華やかさだったのね。
あのレベルを連続で期待するのはさすがにムリだろうと、
今回は、わりと期待値上げずに訪問しちゃったんです。
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そしたらね、やってくれましたよ。
西村シェフが。


年末は、華やかさと豪華さ、それに洗練度を加えることで
見事に西村流のガストロノミックな文脈を紡ぎだしてきたのね。
シェフが1人で厨房の全プロセスをコントロールしてるからこそ生まれる、
細部にまで彼の美意識が行き届いた妥協のない料理の饗宴。

素人のボクにも、それがどんだけ大変なことかはわかるし、
感動を維持することが、どれだけ難しいかは客としても良く知っている。
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にもかかわらず、今回はベクトルをズラすことで、満足度は
維持しながらも冬とは異なる感動を見事に紡ぎだしてきたのよ。
華やかさの代わりに加えらた春らしい爽やかさ、
単なる味覚を超えた、感情を揺さぶる感動体験。

素材の苦味や軽やかさが、テーブルの上に新しい季節や
旅立ちへの期待感を漂わせるとともに、同時に別れの季節の
少し淋しげな気持ちを残していく感じ…
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小田原から東京へと戻る間、心地よい満足度とともに
どこか体の一部を失ったかのような喪失感があってね。
この感覚ってどっかで身に覚えがあるな、と記憶を
探っていたら思い出した。

祭りとか恋愛のピークとか、凄くいいヴァカンスを
送ってる時とか、人生のなかでほんの一瞬だけ輝く、
すごく心が豊かになる貴重な一瞬ってあるじゃない。
あーいう時間の後に訪れる心境と良く似てたのよ。

食事の後にこんな心が揺れるなんて中々ないんで、
最初はその正体がよくわからなかったんだけど
時間とともに納得していった感じ。
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もちろん、それは料理の素晴らしさだけでなく、シェフの想いであったり
ゲストとしてそれに応えようとするメンバーの心意気だったり、そうした
色んなものが複雑に絡み合っての結果なんだけどさ。

だからこそ、どれだけ貴重な時間だったかというのが余計にわかるから、
心の中で祭りが終わるさみしさみたいのが増殖するのを止めることが
できなかったんです。
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料理は文脈として素晴らしかったとしか言い様がないんだけど、
それでもメインで並んだ仔羊と網獲り鴨のアタックは飛び抜けて
凄味があった。
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あさ海苔を纏った初子羊、この組み合わせは強烈なインパクト。
仔羊のシルキーさに海苔のアクセントというのは、今までの
アニョーでは魅せられたことのない新しい切り口のプレゼンテーション。
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仔羊との相性は完璧でしょうが、海苔と一体化した
お皿になっても2004年のドニ・モルテとは抜群のマリアージュ。
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湘南ゴールドのグラニテで一息ついてから、
クライマックスの鴨へと体制を整える。
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最近、アベケン オレのとっておきの会食に
同席率高いんだよね。やるなぁ。
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鹿児島県出水無双網獲り鴨のアンチェロティ、
まずは鴨とソースでシンプルに味わう。
鴨のポテンシャルを引き出しながら、余韻を
しっかりと残してくれるバランス感。
ふた口目は、クラッシュしたトリュフと
贅沢に合わせる西村流の鴨の居合で。
鴨の肉厚な強さに負けないトリュフの存在感。

先日、トゥール・ダルジャンでも幼鴨を
いただいたけど、またそれとは違った鴨の魅力。
実にエロガントな文脈で、この鴨をいただけた幸せ。
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この日もワインは料理ごとにペアリングで。
仔羊とドニ・モルテ、フォアグラにソーテルヌという
定番中の定番がやはり印象深く残っているけど、
ホワイトアスパラと合わせた白ワインも好みでした。
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西村シェフと知り合って、まだ半年ちょい。
気軽には行きにくい京都に移転してしまうのは
残念だけど、その前に何度も訪れることができた
ことをラッキーだと思うことにします。
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ラ マティエール
(La Matiere)
0465-24-5512
神奈川県小田原市城山4-1-11
http://www.odawaramatiere.com/



なんかね、もっとこうリズムよく感情を文章にのせて
この時の心の温度感を上手く伝えたかったんだけど、
筆力が全然足りてなくて、もどかしい。

西村さん、あの料理とテーブルの温度感をもっと
書けるように腕みがくんで、引き続き京都でも
よろしくお願いします。
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さて、この日の流れを巻き戻して
頭から流してみましょうか。

オンタイムにお店に到着。
小田原の駅から歩いてみたけど、
ライトアップされた天守閣を横目に
お店に向かうのって昂ぶりますね。

テーブルにつくと、まずはローズティがお出迎え。
食欲促進とリラックス的な位置づけ。
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マダムから、今日登場予定のワインの説明を。
まだ、最終的に出す料理が固まっていないとのことで、
この中からアドリブでお出しします、と。
厨房で最後までチューニングをしていただいてる
シェフに心より感謝。
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ソーテルヌとドニ・モルテは決まってますと。
訪問したことのあるドメーヌのワインが出るのは嬉しいね。
ブルゴーニュの旅は、その時で終わりではなく、その後の
余韻がしっかり楽しめるのが投資効果高いよね。
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とにかく少なめにワインを注いでもらいます。
後半のクライマックスで使い物にならないって
ほんと悔しいので。
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左がトマト、アヴォカドと毛蟹、
右が北海道産毛蟹とキャビアセヴルーガ タルトレット
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焦がしライムと合わせて。
ライムは焦がすと角が取れるんすね。
ちなみに上の葉っぱはパクチー。
まさか蟹とパクチーが合うとはね。
ういきょうのクリームが全体をつなぎ
フレンチらしい悩殺系の味わいに。
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セヴルーガのキャビアをふんだんに盛った蟹のタルト。
蟹やタルトの甘さがキャビアの塩味でギュッと締まる。
一口サイズではあるけど、フレンチでしか出せない
エレガントでパンチのあるインパクト。

一皿目から、同じ皿の上でさりげなく蟹のコントラストを
表現してくるあたり、今日も攻めてますね。ワリと普通な
コース料理が展開されるのかと油断してた心が一気に
警戒モードに切り替わる(笑)
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バスク豚のサラミと山菜、温度差で。
山菜とサラミの組み合わせによって、同じ皿の上でも
まるっきり違う味が出来上がる。ちょうどソチ五輪の時期
だったこともあって、同席のメンバーは「第一グループ」は
滑走終了みたいな感じで、「第三グループ」まで分けながら
それぞれの組み合わせをフリーで楽しんでいましたね。
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野菜も軽く火を入れてるものがあったり、
シャキシャキ系や苦味系があったりと
肉の脂を色んな角度で愉しませてくれる。
脇役にみえながら、主役は野菜な一皿でした。
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続いては、小田原産なごり鰯のサーディン、
フレンチにしてはかなり塩味の強い料理なので、
フォアグラとにんじんのテリーヌの甘さにホッとする。
こういう癖のある料理にイタリアワインは強いよね。
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紫の野菜が春っぽい。
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続いてはホワイトアスパラガス。
ガストロバックされたロワールの白アスパラに、
トリュフと焼き汁のゼリーが巻きつけられている。
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白い山は同じくホワイトアスパラのブランマンジェ、
上にかかっているソースは卵黄とトリュフのソース。
食感はリコッタチーズに近いかな、ホワイトアスパラの
風味が、こんな風に活かされるとは。地味な山に見えるけど
実は脱いだら凄い系のお宝な一山です。
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駿河湾赤座海老のビスク、部分によって火入れが異なり
弾力ある食感と、とろっとしたエロティークな食感を
両方楽しめるように仕上げてある。
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それにしても、立派な赤座海老。
小田原マティエールではワリと定番の食材でしたが(贅沢でしょ)、
こんな華やかな食材だったとは知りませんでしたね。海老の下に
敷いてあるのがグリーンピースとトリュフ。途中でしっかりした
食感を挟むことで、赤座海老のエロティカルな歯ごたえを、
リセットして何度も楽しめる。貪欲な変態エロチズムの具現者。
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今宵の食材達のプレゼンテーション。
ボーヤファームの仔羊と鹿児島の尾長鴨。
結構鴨さんは 大きいんですね。
仔羊も言うてもそれなりにデカいです。
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メインの準備をしている間に北あかりのブルーテを。
トリュフのかをりが立ち昇るグラマラスなスープ。
単体としても力強く、こういうのをシラフの時に
不意に食べちゃった日にゃ、腰抜かすくらい
ブルっちゃうだろうなと。

レストランで、美味しいものが次々に出てきて、
しかもワインなんか飲んでると、どうしても感覚が
麻痺しちゃうんだけど、家の食卓で不意に出てきたら
役者の違いがハッキリわかって面白いんだけどね。
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さて、ソーテルヌが注がれたということは
そろそろ今宵のフォアグラさんが登場ということですな。
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JD キャスタンフォアグラと苦味甘みの調和 春
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フォアグラの周囲を菜の花で囲んで、上には金柑のコンポートと、
金柑を伸ばしたビネグレットソースが広がっている。案外すっきり
したソーテルヌとは、思いのほか軽い組み合わせ。

ただ、フォアグラ本体がデカいので、さすがに後半は
フォアグラの脂がアラフォーボディに効いてくる。
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さっきも書いたけど、この子羊は心底ヤられました。
羊単体でも相当上質な体験ではあるんだけど、それに
海苔とクレソン(ソースも)を組み合わせることで
オリジナルの世界観を築き上げている。フランスの
シェフが日本の素材を使ってそれっぽいことをすると、
フランス人にとっては新鮮かもだけど、日本人からしたら
イマイチってことが多々ある。

でも、フレンチの技術とエスプリをしっかり持ったシェフが
日本食材を使うば、パリとは比較にならない突き抜けた完成度の
料理を創りだすことができるんです。

香辛料使いはDNAに染み込んでいないのでそこまで得意じゃ
ないだろうけど、今のフレンチのトレンドなら、日本で食べる
和キュイジーヌは、ある意味 世界最高峰の完成度。
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ジュブレ・シャンベルタンのテロワールを思い出しながら。
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小田原湘南ゴールドのグラニテとジュレ。
多分、このあたりで一度ピークが来てたので
これを機にリセットされたはず。めったにないけど、
記憶に無いお皿がなくて良かった…ε-(´∀`*)ホッ
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最後に網取り鴨のアンチェロッティ。
ここでね、エギュイエットだと色気が激減のところ、
しっかりとした肉厚な鴨でコレでもかってくらい
滑らかで張りのある肉質を堪能させていただく。
トリュフと鴨、ソースのバランスはジャスピン。

根セロリのソースは、ボクには重かったかな。
後半まだ余裕があるヒトには飛び道具になるのかも。
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フロマージュをつまみながら、この日の流れを思い返す。
最近はデセールだけじゃなく、フロマージュも別腹になってきたかも。
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デセールは、苺とピスタチオのアイスクリーム。
苺はちょっと代わった食感と味わいだと思ったら、
これもガストロヴァックのようですね。
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「京都のお店はハコも大きくなっちゃうから、シェフの目が
 行き届かなくなっちゃうんじゃないかって心配してるんだけど
 大丈夫?」って聞いたら、最初は様子見ながらやっていくとのこと。
しかも今度の厨房はジャブローばりに色んな装備が揃うらしく、
シェフの工数も色んなところに分散できるのかな。

京都はそれなりに訪れる機会が多い場所だけど、こっちのメンバーほど
気軽に同席者を集められるかというと、中々難しくてね。なんだかんだ
ワカゾーが2万円も食事に払う文化って、東京以外じゃレアだもんで。

いずれにしても、京都という独特の土地でどんな風なお店に
進化していくのか、いちファンとしては心から愉しみ。
ヤンチャな風、京都に吹き込んでくださいね。
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kyah2004 at 22:16│Comments(0)TrackBack(0)フレンチ | ¥20000〜

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