Fusion
2019年02月20日
Kabi (目黒)カビの華美たるゆえん
1年ちょいくらい前にオープンした目黒の『Restaurant Kabi』。
”日本、フランス、デンマークなど多様な文化によって創発されたレストラン”とのことで、最初はあんまし興味なかったんです。
ノーマをはじめ北欧ガストロノミーでキャリアのあるシェフのお店に国内外で何度か行ったことはあった。ただ、現地の体験がないせいか、そこまでは刺さっていなかったのよね。
ところが去年の秋口、飯田橋の『イヌア』に行ってみたら”なんだこりゃ、北欧ガストロノミーってオモロイじゃん!”と覚醒し、そっから俄然興味が湧いてきて。
そんな時期に、まりえがボクの誕生日に予約をしてくれたのが『Kabi』。さすが15年近く奔放な旦那を支えてくれている妻だけに、ツボをついたセレクトがお見事でした。
オレ、こういうお店が大好き!!!!!!
シェフの安田さんはデンマークの「Kadeau(カドー)」という一ツ星でキャリアを積んでいたとのこと。調べてみたら素材を探しにレストランのスタッフが総出で島中を探しに行くんだそうで。産地の農家さんからというのは聞いたことあっても、自分たちで素材探しに行くって、中々聞いたことがない。
「イヌア」のスタッフもそんなこと言ってたから、北欧ガストロノミーって、そういうスタイルがスタンダードなんでしょうか?
店内のインテリアも和を意識した北欧テイストで、肩の力が抜けたスタイリッシュさも今っぽい。これまでに何度もお店の前は通っていたけど、洒落たカフェかギャラリーでもできたのかな?ってくらいの印象だったもん。
お店は目黒駅からは歩くには、ちょっと距離がある。そんな場所でも外国人ゲストが何組かいて、スタッフもフランス出身の子が最初に接客してくれたりと、なんだかちょっと海外気分。そゆとこも「INUA」に似てる。
料理は『Kabi』という店名の通り発酵にこだわったコースで、この地(日本)ならではの解釈を与えられた素材たちが、自由奔放に皿の上で遊んでいる。凄いのは自由に見えて、腹落ち具合をしっかりと作ってくること。無秩序ではなく計算されたストーリー。
そうそう、お店のこと調べてたらソムリエの江本さんはメルボルンのタイ料理をベースとしたイノベーティブレストラン「NORA」でシェフソムリエだったんですね。ダイバーシティメルボルンの中でもイタリア色が強いお洒落エリアのカールトンゆえ、センスの良さも滲み出てる。

大分のしいたけ、鹿の心臓削り。鮨みたいだった八戸の鯖とチーズの大葉包み、カブとホタテなどなど、書き始めたら止まらない料理の展開力で、料理もお酒も堪能できた。初訪は面白かった! 2回目がどういう印象かで、今後定期的に通うかどうかという分かれ目になる。
Kabi
03-6451-2413
東京都目黒区目黒4-10-8
http://kabi.tokyo/
初訪問から約2ヶ月、来月あたりに行ってみようかな。
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kyah2004 at 23:30|この記事のURL│Comments(0)
2019年01月27日
INUA(飯田橋)北欧ガストロとジャパンプライド
「noma(ノーマ)」のスーシェフが、昨年6月 日本にオープンさせた『INUA』へ。ひとことで言うと、海外で日本の本質に出逢ったような、そんなオンリーワンガストロノミーでした。
準備期間がどのくらいかかったんだろう(3年なんすね)ってくらい厳選された素材で、想像を超えた味の着地点へと導く感性の開発のようなエクスペリエンス。
デンマークの「ノーマ」は未訪だけど、D.N.Aはしっかりと継承されているんじゃないでしょうか。
料理はよりシンプルに その土地ならではの自然の食材を徹底的に研究し、文化的な側面からも食を考えていこうというスタイル。
内装デザインはOeO design Studio
のThomasが手がけていて(スタッフと話してて、初めて知りました!)、華美さは抑えつつも高い質感が出ていていかにも北欧らしい
京都伝統工芸のデザインユニット「GO ON」の西陣織HOSOOのファブリックや遠州七窯 朝日焼を使ったアートも使われていたりと、なんだか親近感。
奥の個室が友人らの作品だらけで、堪りませぬわ
着物で訪れるのは正解だね。まりえのこの着物好きなのよ。
オープンキッチンのライブ感もワクワク度を高めます。
料理は訪れたのが10月だったので秋の食材が盛りだくさん。この食材なんだがわかるかな?

一瞬、ハンバーグにも見えるけど舞茸なのよ。
生の栗にトリュフソースで合わせたり、かぼちゃの種をイカのスープで食べさせたり、

冒頭から身近な素材が全然知らない食材のようでサプライズ、香草を巻いた湯葉も実に旨かった
えのきのステーキ仕立てなど、味のアクセントは作るものの、肉が出ることはなく動物性蛋白質は極めて限定された使われ方。半分くらいは食事の説明も英語なので、マジでどこにいるかわからなくなる(笑)。しかも、スペインのバカンスから帰国した直後だったんで。
驚きの連続のいつきマン。
鮑の火入れはもちろん素晴らしく、蓮の実と合わせるなんて中華のスープの発想ですかね?

海藻と甘海老のお皿のテクスチャの絶妙さは、日本人でも未体験ゾーン。

蜂の子を使った土鍋ごはんには、もはや感服するしかなく。日本素材の研究に至っては、山の中に自分たちで入って探すとか、もはや仙人レベル。モダンの極みにして、日本人のDNAの原点。これを30,000円で味わえるのを高いと思うか、安いと思うかで、食に対する経験値が問われると思います。
食後はウェルカムドリンクでも使ったラウンジで。
ファイリーで海外旅行に来たように錯覚してました。飯田橋だけどね(笑)
誰もが厨房に入れるっていうのも好き。
こうしたシェフとの一体感の演出はThe World’s 50 Best Restaurantsにランクインしてるレストランの方がミシュランよりも得意としてるように見える。権威よりもコラボレーション寄り。
こうしてみると、やっぱ2大政党制が面白い。日本基準の食シーンは黄色いクチコミサイトがやけに目立ってて正直 気持ち悪いのよ。カウンターパートがないって違和感あるのよね。
厨房という料理人たちのステージ。
各国の一流の料理人たちのダイバーシティって、日本のレストランでは絶対に出来ないことをやってくれているオンリーワン。ほんと、この鎖国が続いてる日本には刺激になります。ミシュラン三ツ星取ってくれないかなぁ。
日本人以上に素材に向き合い、自分なりの解釈を続けていかないと出せない料理たち。
テクノリジーもうまく取り込みながら、これからも独創的な価値の提供をし続けていってほしい。
バスクにしても、バンコクにしても日本にいては体験できない味覚体験が世界には待っている。そのひとつの潮流とも言える北欧のガストロが、高いクオリティで日本で再現されてたのが本当に嬉しい。
INUA (イヌア)
03-6683-7570
東京都千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA富士見ビル9F
https://inua.jp/
とまぁ 決して安くはないし、料理も難解なことは否定しないので、ある程度の経験値が必要だということも伝えておくべきことかなと。ただ、オレはリーズナブルだと思うけどね。
↓ ↓

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kyah2004 at 23:51|この記事のURL│Comments(0)