2018年08月27日
ラトリエ・ドゥ・ノト (輪島)能登ガストロノミーを洗練の古民家で
きちんとした技術で調理された厳選の能登食材を、輪島ならではの空間でいただくという旅先ならではの贅沢。
輪島塗や朝市で有名な輪島の町には、カントリーサイドのポテンシャルを引き出したい大人を満足させるフレンチがあります。

その名は『ラトリエ・ドゥ・ノト』。パリのロブションやメゾン・ラムロワーズでのキャリアをもつ池端シェフは、「能登の食材ってこんなにも美味しくなるんだ!」という感動を与えてくれる。これって、フーディーズの旅人が一番求めてるものなんです。
海の幸にも山の幸にも恵まれた奥能登だけど、日本のカントリーサイドに共通する弱点が。それは、食材をエレガントに昇華してくれる舞台が無いということ。
というか奥能登には、そもそも飲食店が少ない。
もちろん、中には美味しい家庭料理や漁師料理を食べさせてくれるお店もあるけど、絶対数が少ないので、洗練されたレストランというのは、本当に限られてしまう。
そんな中、『ラトリエ・ドゥ・ノト』は佇まいからしてセンスがいい。輪島塗の塗師屋(ぬしや)の客室を改装したつくりで、趣のある和モダンな空間。ホンモノをベースにしてるから、なんちゃって感がないんです。
中庭を挟んで、奥には塗師屋の工房・蔵があり、そこが塗師屋の作業現場だったという。そういう能登の伝統について話を聞きながら食事をできるというのは、食べることと美しいものが大好きな旅人には、実にたまりませんですな。
フランス料理をそんなに食べてないヒトには、8000円以上のコースなんて「1食にそんな価値あんのかよ?」という警戒心を高めちゃうケースもある。ただ、百聞は一見にしかず、実際食べてみたらめちゃ納得してくれると本当に嬉しい。
能登では、素材が美味しいから簡単な調理でおいしい食事ができちゃう分、逆にそこまで手間暇かけたフレンチの技に頼らなくても済んじゃうからね。だから、能登の素材がここまで洗練された味に昇華されるということが驚きだったみたい。

雰囲気含め、とても愉しいコースだったけど、中でも魚介のムースをソーセージ仕立てにしたブーダンブランや、
天然ふぐの水揚げ量が日本一という輪島市らしい前菜、

スイカのソルベあたりがキュンときましたね。
ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)
0768-23-4488
石川県輪島市河井町4-142
http://atelier-noto.com/about/
イクに会って、ここで食べるだけでも能登に通う価値がある。
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こんな夕暮れの中を走りながら穴水から輪島へと向かう。
能登らしい設えに、テーブルに座る前から昂ぶってしまう。
どんな夜が待っているのか、期待が高まっていくこの瞬間が好き。
まずは、シャンパーニュで。遠慮なく飲ませていただきますw
この木のプレートは能登のひばを使っているそう。バイ貝、能登豚のテリーヌ、グージェールと、のっけから能登の食材の洗練された一面を魅せてくれる。
サンマを乗せたガスパチョ。
焼物よりも、生に近い方がサンマは好きだったりするんです。なにげに、結構気に入った一皿。
中庭を覗くと、向こうに賑やかなは団体さんが。
とうもろこしと甘エビの組み合わせとか、能登らしくて笑みが溢れる。

ふぐに続いて、リードヴォー。贅沢な食感の食材が続く。 バターナッツ、ビーツ、キノコと合わせて。

グラニテで一呼吸おいてから
ソースをかけて完成形。

スズキの火加減もいいし、ソースのバランスもいい。肉ではなく、ここがこの日のクライマックス。肉が悪いのではなく、この魚料理がハマったのよ。
メインのお肉は能登牛のロースト。
まりえとイクは、小鳩のパイ包み。かなりのボリューム。
スイカのソルベも仕上げまでのプロセスを目の前で楽しませてくれる。
こちらのスイカのジュースをカクテルにして
すいかのソルベの上にかけていく。
こちらが完成形なんだけど、夏を感じる素晴らしい一皿でした。
デセールの2皿目はフォンダンショコラ
普段、フォンダンショコラに酸味のソースってそんなに好きなパターンじゃないんだけど、ここではズバっと刺さりましてね。
ひとしきりシェフとおしゃべりしてたら、輪島の夏祭のハイライトの時間が迫ってきたので、後ろ髪をひかれながらもおいとますることに。
このまま輪島に泊まるというのもいい手かもしれない。
能登との付き合いは、まだはじまったばかり。