2019年08月14日
鮨 在(広尾)鮨とお酒の可能性
「鮨なんば」とか「鮨さいとう」とか、確かに完成度は凄い。わざわざ、そこに足を運ぶ価値があるということに全く異論はない。
ただ、そのあたり行くと、もはや99点と97点とかいう最高レベルの誤差の話で、期待値と満足度が高止まり状態というのも事実。
では、鮨の進化というのはここで終わりなのかと言うと全くそんなことはなくて、ペアリングによって全く違う伸びしろがあるんだということに気づかせてくれたのが広尾の『鮨 在』

自称 #鼻につくソムリエ の保坂さんが、大将の岡田さんの鮨に合わせて一貫づつお酒を合わせてくれるんだけど、これがめちゃ良くて。

新政No.6や石田屋なんていうヤバい清酒はもちろん、ビオワインや焼酎、クラフトジンなどペアリングの幅が広く、これまで気づけていなかった鮨の魅力も見えてきたり。

大将の岡田さんは、もともと六本木の「鮨 由う」で、尾崎さんと一緒にカウンターで握っていた方。今年の春先かな、『鮨 在』のオープン準備でソムリエの保坂さんも「鮨 由う」でサービスしていた時があったんです。
その時「お酒弱いから、一杯づつの量は目一杯減らして、でも料理には合せてみて」って保坂さんにわがままリクエストしてみたのね。したら、握り一貫にお猪口一杯を合わせてくるなんて荒業キメてきて、ほんと衝撃で。
『鮨 在』ではペアリングが1万円と正式にメニュー化されてるので、誰でもそんなオーダーの仕方できる。細かすぎるペアリングがイヤだという人は、2,3アイテムづつに一杯みたいなこともしてくれるんじゃないかな? そんな臨機応変さもありそうな予感。

お酒の話が先に立ちすぎたけど、割烹のような手の込んだつまみに、硬めの攻めたシャリと丁寧な仕事のネタでお鮨も当然満足度は高め。
春子鯛のエアリーな食感や、トキシラズの歯切れの心地よさなど、握りを手にした時のイメージをいい意味で裏切る遊び心もよいのよ。
中トロの漬けや、のどぐろ紅瞳の海苔巻き、利尻の雲丹あたりは素直にズキンと刺さったし
、こはだ、鯵あたりはワインのペアリングでグンと鮨の魅力が伸びていた。

鮨単体としてもかなり好みだったけど、ペアリングが理想で、突き抜けた鮨体験になったわけ。

一杯づつ合わせるというスタイル自体が最大の衝撃だったんだけど、この日はペアリング、最初と最後を黒龍の石田屋、しずくで挟まれて。
そう聞くとバブった優等生みたいな合わせ方をイメージするかもだけど、ロムデュタンでも出してた焼酎「フラミンゴ」や、kabiなどでも飲んだことある自然派ワインのレジェンド、ジュラのミネラル感あるオレンジワイン、山椒のスピリッツのお茶カクテルなど、多彩な攻撃サッカーでピッチを駆け巡る感じ。

鮨ってこんなに自由だったんだということを認識できたし、なんせ愉しいのさ。

鮨 在
03-3446-1134
東京都渋谷区広尾5-3-13 Barbizon86 5F
03-3446-1134
東京都渋谷区広尾5-3-13 Barbizon86 5F
カウンターゲスト間のゆるいグルーヴ感が心地よかったのも、高印象が残った理由のひとつ。
↓ ↓*********************
広尾商店街の新築ビルの5F、カウンターのゲストは比較的若めで連れの美人率が高い。

まずは帆立とアスパラの茶碗蒸し。ほっと和む。
ほっと和みつつ、ペアリングで行く旨をオーダーしたら、いきなりの黒龍「石田屋」。テンションあがりすぎるわ。
噴火湾の毛ガニと余市の雲丹だったかな。ふわっとエアリーなテクスチャだけど、味は重量感。ここに「石田屋」の熟成感が合うんすね。
続く白甘鯛はしゃぶしゃぶ。温かいポン酢にくぐらせて。食感にレアさも残しながらというところがニクい
6時間蒸した黒アワビ、余市のキタムラサキウニ。さては写真を撮り忘れたか。
続いて、まつもとは守破離、65%でクリスピー

メジマグロは海苔の佃煮と。
海苔とメジマグロの脂がマリアージュ。まつもとが、味を和らげつつもふわっと広がる
ビートルズが流れる酒造で造られたお酒「ボー・ミッシェル」。ほんと最近、ワイン並みにアーティスティックな蔵元が一気に増えましたな。

そんなお酒にはあん肝。わかるかな?、めっちゃ巨大。
あん肝はフワッとエアリー。ふり柚子もしてあり、デカくてもペロリと食べられる。「ボー・ミッシェル」のグリーンノートが、さわやかさを加速。
このあたりは王道のペアリング挟んで場を整えます。

メヒカリの酒盗焼き。2、3日漬け込んで、鰹節とともに。食感もいいし、干物の良さと焼き魚の良さを合わせたような、それでいてつぶつぶな食感もある。これも写真が無いわ。
溌剌とした酸とタンニックさが中和するお酒を合わせてました。

赤い実のついたじゅん菜でリセット。
いよいよ握りのパートです。

春子鯛は鹿児島の出水から。身のほぐれ具合と、エアリーさ恐るべし。ヤバい、相当タイプ。
この見目麗しき握りはトキシラズ。見た目のイメージよりもしっかりとした歯ごたえ。歯切れが良く、さっきの春小鯛とは逆のアプローチだけど、見た目と異なる印象で驚かせてくれた。脂も柔らか

ここで新政のNo.6 S-TYPEを投入。

中トロは敢えての漬け。シャリの立ち具合もたまらぬ。
そして、大トロにはさっきの新政No.6を燗で合わせてきやがった...、いかんヤられるw
コハダに備えて自然派ワインの大御所

コハダの魅力を大御所が伸ばす伸ばす。
鯵は大阪湾。単体でも美味まくりだけど、これも大御所が伸ばす伸ばす。
続いては、のどぐろの巻物。在のシグネチャーになるのかな?
かなり脂が落ちるので、ここから下に海苔で蓋をして出してもらいます。
悪い、単焦点の50mmレンズで画角狭いから、キメポーズがフレームに入らんわ(笑)

白エビおばあちゃんの手剥きだそうで。機械よりも水っぽくなら無いんだって。
続いてはジュラ。うわ、タイプ過ぎる。ミネラル感いいね。

さっきのジュラが、咀嚼が多いと余計合う。
このオレンジの感も逢いますな。
雲丹、余韻の鶏卵感がいい。余韻を酒で伸ばす

そのお酒とは黒龍のしずく。35%精米なのにこの旨味??

山椒をアクセントにうなぎ。
うなぎの山椒にピントを合わせて、山椒スピリッツのお茶割り。こういうアプローチ、いいじゃない。
最後に芝エビのすり身を使ったたまご。黒糖
もうお酒は終わりだろうと思ったら、最後にクレイジーなのぶっこんできた。
最近は、鮨だけじゃなくイタリアン、フレンチ、フュージョンでも、いかにペアリングがハマるかという視点でリピートするお店が絞られている。そして益々自然派ワインを飲む比率が高まってきた。
お酒は量が飲めない分、少量でいかにフィットするかというのが、ほんと重要なんすよ。お酒の強い人には、中々理解してもらえない悩み。
まー、それを言ったら体にアルコールが入ると2時間後に必ず眠くなるという体質も、理解は得られたとしても、共感はしてもらえないけどね(笑)