京都丹後_201903
2019年10月26日
ル ピックアシエット(京都)エスプリと伝統と革新と

京都というと、日本各地、いや世界中のフィーディーズたちが集まる人気店に目がいきがちですが、地元のお客さんに支えられたいいお店もたっくさんあるんです。
観光客として京都に訪れるだけでなく、京都の友人のところに遊びに行くと、そんなお店に会えるんですよね。
清水寺からほど近い『 ル・ピックアシエット 』は、趣のあるファサードのフレンチレストラン。丘の途中に立ってることからどことなくモンパルナスの丘を彷彿とさせる。

京焼「真葛焼」の窯元の目の前のせいか、この一角にはやけに文化的な薫りが漂ってるように感じてしまうのよね。
実際ここは真葛焼の若旦那 シンくんの行きつけでもあり、この日は窯元でお茶を一服してからおジャマしました。
なんといい流れ。
しかも、まりえのヴィンテージのJOSEPH ROTY ジュブレ・シャンベルタンに、この翌日訪れる予定の竹野酒造のトップキュベ「in/ei(陰翳)」 まで用意されていたのよ。

真葛焼の新作 ワインにも使えるお椀のプロトタイプも並び、めでたく実戦投入の機会に立ち会えるという幸せ。ブルゴーニュのピノ・ノワール好きの若旦那だけあって、リーデルのブルゴーニュグラスに似たフォルム。これは期待が高まります。
ファサードからしてエスプリを強く感じるお店だなと思ってたけど、「やりますな!! ル・ピックアシエット 」
淡路島産 玉ねぎのタルトをいただいて吃驚。ものすごく時間をかけて丁寧に作られたことが伝わってくるたまねぎの甘さ。タルト生地とのバランスもよく、しみじみと美味しい。

このあたりはテタンジェと合わせて

続くオニオングラタンスープも、寒い時期には最高のご褒美。グリュイエルチーズの主張具合も程よく、これまた体に染み入るようなイノセントなスープ。もちろん、たまねぎの濃厚なかほりや風味が五感を緩ませるんだけど、雑味がないからクリアな印象なの。

シェフは、京都で和っぽいニュアンスを挟むと中途半端になるということで、敢えてモダンっぽい寄せ方はせず、王道のフレンチにこだわっている。不器用なまでの実直さも、実は好感ポイント。自然と応援したくなる。
ロワールのアスパラをオランデーズソースで。
これでもかというくらい たっぷりと魚介を使ったお皿
でもね、濃い味には役不足かと思われた清酒が、これまたバッティングすることなくツートップとして並ぶのよ。

最近、逆にこんなクラシックなフレンチを食べていなかった。ビストロとは一段異なる手の混んだ味わい。これぞ、フレンチ。
そしてこの日の主役 京都亀岡の七谷鴨、鴨といえば鉄板のブルゴーニュに臆することなく並ぶ陰翳の底力

今は「三昧椀」と命名されて正式に販売がはじまったワインにも使えるお椀。リーデルのグラスのシャープさとは異なる、円熟味を増す味わいを愉しませてくれました。即購入を決定。

焼き立てのパイ生地のサクサク感たら無いよね、ほんと愛してる。

こうして世界で腕を磨いて来た人たちがいるから、ボクらは極東の島国にいながらも最高峰の味を愉しむことができる。
美味しいもの、美しいものに囲まれて生きられる幸せ

豊かさとは、お金も必要かもしれないけど、それを感じられる心の洗練度だと感じている。

やー、ほんと一期一会のエクスペリエンス

兄弟でこうやって遊べるのも幸せのひとつのかたち

ル・ピックアシエット (Le pique-assiette)
075-531-9850
京都府京都市東山区下馬町491 アースコート清水 1F
https://le-pique-assiette.com/
そして、今日も旅は続きます
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kyah2004 at 11:18|この記事のURL│Comments(0)
2019年05月12日
即今藤本(京都)昼の贅
さりげなく京都の良店が集まり、地元の感度高い友人らからも注目度が高まっている二条通りの寺町エリア。
そんな町の路地の奥に佇む『即今藤本』
お昼から本格的な日本料理を気軽に愉しめるお店が多いというのは、言わずとしれた京都の魅力。

京都のRYO、かおりん夫妻に、シンガポールから来てた弟、たまたま京都に行たタクヘイちゃんと、当家の6人。それだけでカウンターはいっぱいになるので、この日は貸切状態に。
それぞれが、個性的なビジネスを展開しているだけに、会話のスケールもワールドワイド
ワクワクする会話を肴に、カラスミをまぶした桜鱒をはじめ、本鮪、鳴門のアオリイカのお造りと日本の味を愉しめる幸せ。
〆のごはんがシラスと穴子の蒸し寿司というのもホッコリする。
即今藤本
075-708-2851
京都府京都市中京区榎木町92-12
本物の価値を、お昼から気軽に堪能できる京都。やっぱり、この町が大好きです。
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kyah2004 at 19:26|この記事のURL│Comments(0)
2019年03月11日
真葛焼の若旦那と丹後をめぐる旅
去年の秋 京都 真葛焼の真くんから、茶室で「kyahさん、丹後に行きませんか? 連れていきたい蔵元があるんですよ」と誘われて、即決した丹後トリップ。
雨男の若旦那のおかげで丹後の景色のポテンシャルは引き出せず終いでしたが(笑)、夏に再訪を決めるくらい気に入りました。シンガポールから来た弟やまりえも、丹後のポテンシャルに魅せられてたしね。
わざわざ誘ってくれただけあって『竹野酒造』は衝撃。酒づくりのアプローチやビジネス展開の話も面白く、一言でいうとブルゴーニュのグランクリュでした。

しかも、真くんの『竹野酒造』との出会いの演出まで粋でね。
丹後に行く前日は、京都に泊まることにしていて、真葛焼の窯元に寄ってからすぐ近くの『ル ピックアシェット』でディナーという流れだったんです。
お抹茶をいただいた後、
なんだかゴソゴソ用意してるなと思ったら、真葛焼の水指をワインクーラーがわりにして、竹野酒造のプレステージキュヴェ「in/ei」や、Joseph
PotyのCharmes Chambertin(79年)をおもむろに持ち出してきたんです。しかも試作中のワイン用の焼物も持って!
国内の旅先、特に京都でフレンチという選択肢はあまりないんですが、これは京都ならではのフレンチ体験。俄然テンションがあがります。

そう、若旦那の真くんは無類のワイン好き。にしても、まりえのB.Dヴィンテージだからと1979年をセレクトとなんてお洒落過ぎるエスコート。

『ル ピックアシェット』は、オーセンティックなフランス料理を出すモンマルトルの丘を彷彿とさせるレストラン。京都っぽい、くねくねした細い路地を抜けた坂の途中にあり、なんだかあの辺を思い出して。

シェフは、京都で和っぽいニュアンスを挟むと中途半端になるということで、敢えてモダンっぽい寄せ方はせず、王道のフレンチにこだわっている。京都亀岡の七谷鴨、カスレ、オニオングラタンスープといったあたりが、しみじみ美味しかった。

そして、そんなオーセンティックなフレンチなら、Charmes
Chambertin(79年)が圧勝するって思うじゃないっすか。ところがね、竹野酒造の「in/ei」(陰翳)は、ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュとは違ったベクトルで、料理の魅力を引き立ててくるのよ。

こんなワインと並べて語れるって、これまで体感したことのないタイプの日本酒。役割は違うんだけど、乾杯の時に空けたテタンジェは完全に次元が違っていて、もはやチェイサー的なポジションに回ってました。

そうそう試作品の真葛焼のワイン用陶器は、ブルゴーニュグラスよりも更に味をまろやかにしてくれるのよ。ガラスの方が味が固く感じて、思わず当家分も発注しちゃいました(笑)
ル・ピックアシエット (Le pique-assiette)
075-531-9850
京都府京都市東山区下馬町491 アースコート清水 1F
http://le-pique-assiette.com/
とまぁ、こんな前日の予習からの丹後「竹野酒造」行き。
現地では「竹野酒造」杜氏のヨシキ君とお酒についてだけじゃなく、富裕層向けのインバウンドビジネスの話とか、丹後という土地が持つ旅人向けのポテンシャルとか色々話してて、14:00から26:00までが、ほんとあっという間でした。

この時期は酒造りのため、杜氏さんは酒蔵を離れることはできないんですよね。なので、蔵元併設のBARで何種類かお酒を試飲させてもらったりとか、真くんが真葛焼のお茶碗でお薄点ててくれたりとか、夏はめっちゃ気持ちよさそうな海岸線までドライブしたりとかね。
〆の甘エビの炊き込みご飯、海老の食感がエロス。
和久傳出身の吉岡シェフが、地方には料理や空間、器にこだわった洗練されたお店が少ない...ということで地元に帰って立ち上げたお店だけに、『縄屋』は竹野酒造のお酒に抜群のマリアージュ。
この日は「in/ei」よりも更に新しい「ni」というプレステージキュヴェもいただいて、熟成の可能性についても魅せられました。
畑や米の作り手にまでこだわらないと、理想の味には近づけない。農薬は全部が悪いとは言わないけど、個性を失くすリスクがあるので使いたくないとか、美味しさの裏側の話も聞けると尚更楽しい。

魚菜料理 縄屋
0772-65-2127
京都府京丹後市弥栄町黒部2517
食後は、話が弾んで竹野酒造のBARにもどり、ブランデーやコニャックとも「ni」を飲み比べ。これから先は、ワインのように長期熟成にも耐えられるプレステージの清酒にも挑戦していきたいというだけあって、これだけのお酒と並べても、全く引けをとらないのよね。
前日に「ル・ピックアシエット 」で買ったお土産のガトーショコラが深夜にいい仕事してくれたり、
酔い覚ましで酒蔵見学させてもらったりと、まさにPricelessな時間を過ごさせてもらいました。
弟とは、シンガポールを窓口にして、富裕層向けに”ありきたりじゃない”日本を旅することができる仕組みを作ろうとしてて、去年秋から京都やニセコ、丹後あたりを連れ回してるけど、改めて日本のポテンシャルの高さを感じてくれたようで。
実現に向けては、色々課題出てくるだろうけど、とりあえずはTRYしてみてから、色々考えればいいかなと思ってます。まずは、やってみないとね。
っていうか、日本でもこういう旅に興味ある人集まったら、ミニツアーにして組んでみてもいいかなと思ってます。
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kyah2004 at 23:30|この記事のURL│Comments(0)